強気の春秋航空、日本便を大幅増 札幌と福岡も申請 「最重要市場」

上海に拠点を置く中国の格安航空会社(LCC)、春秋航空の王正華会長は27日までにフジサンケイビジネスアイの取材に応じ、2~5年以内に日中間を結ぶ国際路線の発着地を中国側で20都市以上、日本側の乗り入れ先で10カ所以上増やす強気の計画を明らかにした。王氏は格安便の大幅増発を背景に「中国からの訪日客は年率で50%以上伸び、日本が最重要市場になる」との見方を示した。

 上海から日本に向かう同社の路線は現在、茨城と関西、高松、佐賀の4路線。燃料追加分を除くと、上海-佐賀線の片道運賃が3000円からなど格安の設定で業績を伸ばしている。

 王氏は日中の航空当局などに対し、札幌、福岡の2路線の開設も申請したことを明らかにした。札幌は7月、福岡は年内にも就航する見通しだ。中部(愛知県)や広島、長崎などへの路線も近く開設を申請し、2年以内の就航を目指す。

 中国国内では天津、重慶の両直轄市や大連(遼寧省)、西安(陝西省)、深セン(広東省)など20都市以上と、主に成田、関空を結ぶ日中間の路線を3~5年内に開設したい考え。

成田を拠点とする同社の日本法人が6月から、広島など3都市を結ぶ日本の国内線に参入することが決まっており、成田や関空などを経由して国内線と接続する形で、日本国内の10カ所以上に乗り入れることを検討している。

 急ピッチの路線拡張計画について王氏は「対日関係悪化とは一線を画した訪日ブームが中国にある」としている。同社は今年、日中路線の搭乗者数は約30万人と見込むが、格安便の新路線開設が中国各地からの訪日客をさらに開拓するとみている。

 このため同社は年内にも上海株式市場に上場し、100億元(約1630億円)の資金を調達。現在40機保有するエアバスを2018年までに100機態勢とし、中国人客の間で高まる海外観光意欲を生かし、LCC間の競争も激しくなっている日本も含むアジア市場で勝ち残りを目指す考えだ。(上海 河崎真澄)